ひながたり。

writing practice as practice flight

Moleskine Resurrection Black Label (2018ver.)

achievement unlocked: “ドイツ語版モレスキンを入手”

 

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モレスキンにありがちな1ページ目(ドイツ語仕様)。表紙を180度拡げるとページが浮き上がってきてしまうので、初音ミクさんに押さえていただいた。

 

モレスキン、もはや説明の必要もないであろう伝説のノートブックだけど、その18ヶ月ダイアリーを使い続けてはや4年目になる。モレスキンについては過去に何度か書いていて*1*2*3、でもいずれも2014年、今から3年も前のことであった。今となってはにわかに信じがたいことだけれど、当時は1年間に2冊、上半期と下半期に分けて使っていたというのだから驚く。そうまでして書く内容があったということ、そして書くことそれ自体に対する自分の少なからぬ熱量、今の自分から振り返って見れば、これらの美徳が残念ながら失われてしまったことを認めなければならないだろう。

 

過去記事によれば、当時は「使い道のない前年6ヶ月分、手帳の前から3分の1は、ミッション・ステートメント、旅の記録、訪れた美術館、観に行った映画、勉強したことなど雑多なことを書き留めている。あとは今年からはお気に入りの絵をぺろんと貼ってみて、暇なときに眺めるなど」していたらしい。だが今はどうだろう? ミッション・ステートメントはともかくとして、旅や異国は未だ生活にあるものの、文字として残さなくなった、残す気力が失われた。美術展に訪れる回数は目に見えて減ったし、映画を最後に観に行ったのはいつだろう。学びをきれいにまとめることも少なくなった。モレスキンは上品であるがゆえに完璧で瀟洒な記録を要請し(ているように見えてしまい)、それは日々に追われる僕にとって書くことのハードルを上げるのに十分だった。かくして諸々の記録は崩壊した。

 

モレスキンの18ヶ月ダイアリー、当時はサン・テグジュペリ*4の精神に倣って、星の王子さまがあしらわれたものを使っていた。記事にしていた2014年だけではなく、2017年すなわち今年までは毎年同じタイプのダイアリーが出ていたから、それらを順当に使ってきたのだった。けれど来年向けの限定版のラインナップ、PEANUTSとスターウォーズ不思議の国のアリスの間に星の王子さまの姿はなく、いよいよ廃版となってしまったらしい。すると不思議の国のアリスに乗り換えるか、しかし表紙絵が可愛すぎるのも普段使いとしてはちょっとあれだし、かといっていつもの黒表紙に戻るのも味気なく、どうしようかと思案していた。最近は記録もほとんどしてないことだし、いっそアナログの手帳は来年からやめにしようか…と思うところもあって、でもそこでたまたまドイツに赴く時宜を得たこと、しかも空港でモレスキンストアを見つけて、よく見ればドイツ仕様のドイツ語版の18ヶ月ダイアリー、これはなかなか珍しいなと記念も兼ねて買ってみたのだった。結果的には4年ぶりにかつての黒表紙に戻ることとなった。

 

当方ドイツ語は基本的に読めなくて、でもカレンダーのページはだいたい想像がつくから問題ないし、手帳の前半にある役立ちコンテンツもほとんど使ったためしがないからそこまで困ることはないと予想している。むしろ読めない言語が書かれているというのはminoriの卓上カレンダー*5と同様に異国情緒があって良い。コンテンツの中にはドイツの詳しい祝日情報があって、これがあれば将来ドイツで働くことになってもやっていけそうだった。

 

以前の記事で画像を借りた本、この著者の方が最近また新刊のライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250を上梓されていて、僕も買っていま読んでいる。そこではモレスキンライフハックツールのひとつとして、何ページか割かれて紹介されている。使い方もそうだけど、その手帳に対する向き合い方、思想にすごく良さがあって、中でも今の自分に刺さった一節を以下に引用させていただきたい。

モレスキン・ノートブックを最初に使うときはあまりにページが整っていて美しいので、書き込むのに気後れしてしまうことがあります。そこで私はノートブックを買ってきたら、その日のうちに最初のページをとりとめもない考え事で「汚す」ことを勧めています。(太字原文ママ

無意識にハードルを上げているのは他ならぬ自分自身だということ、どうせ自分以外に見る人はなく、格好悪くとも記録で汚し続けたい。そしてゆくゆくは来し方のありよう、かつての熱量をもう一度大復活できればと思う。

 

 

最後に、もうお気づきかと思いますが、この記事のタイトルは例によってケイブ作品のオマージュであって、それ以上の意味はありません。怒首領蜂大復活、最近ではsteam経由でPCでも遊べるようになって、良い時代になった。

store.steampowered.com

 

 

絶望名言「中島敦」(11月6日(月)18時まで聴き逃し配信中)

NHKラジオ第1ラジオ深夜便で2017年10月30日4時台に放送された番組「絶望名言『中島敦』」を詩的私的に応援する記事です。聴き逃しサービスで1週間聴くことができるようなので、興味を持たれた方々におかれましてはご聴取されたい。

 

www.nhk.or.jp

 

中島敦、「山月記」で有名な日本の作家だけど、絶望名言での引用もまた山月記の一節から始まる。引用の詳細は番組に譲るとして、これらの引用が有名な作品からだけではなく、私小説(あるいはそれに準ずるものと思われる)である「かめれおん日記」「狼疾記」からもあったのが個人的に嬉しかった。これらの作品からの引用のほか、番組では「李陵」「和歌でない歌」にも触れられていて、特に後者はこれまでまったく目にしたことがなかったので新しい発見があった。彼の作品群における著作権はすでに消滅しており、番組で挙げられた作品はどれも青空文庫で読むことができる。

 

中島敦 山月記

 

中島敦 かめれおん日記

 

中島敦 狼疾記

 

中島敦 李陵

 

中島敦 和歌でない歌

 

番組ではSelf-handicapping *1、全力で努力することはなかなかできない、人は同じ状態でいるとだんだん不幸になる、幸福に生きるためには不快も必要、ポジティブシンキングでもネガティブシンキングでもなくほどほどが大事などについて語られている。あるいは狼疾記の冒頭の一節、これは以前にも引用して記事*2にしていたけど、

 

養其一指、而失其肩背、而不知也、則為狼疾人也。

 

というやつは、この作品を何度も読んでおきながらいまいちよく解っていなかった。けれど番組内ではこの一節がたとえ話をもって解説されていて、そうかそういうことだったんだと深く納得した。こちらについても詳細は番組を参照されたい。

 

僕も寡聞にして知らなかったことに、彼は相当に大変な人生を送らざるを得なかったらしい。幼少期に両親が離婚し、継母には虐められ、小説はうまくいかず、病気療養のために南国に行けばまた別の病気にかかるというふうに、相当にハードモードな人生であったようだ。他人から見ればそれがふさわしい人生なように思われても、その当人にとっては全然ふさわしくないわけで、その切なる思いは「李陵」の一節として現れる。その人間らしさ、あまりにも繊細な姿が読み手の心をとらえるのだと思う。その一方で「和歌でない歌」にみられるように、彼はその醜い人生を愛するほかになし、そして運命を知りつつもなお高みを目指す切なさよと毅然と詠みあげる。その姿はとても尊い

 

あるがまゝ醜きがまゝに人生を愛せむと思ふ他(ほか)に途(みち)なし

みづからの運命(さだめ)知りつゝなほ高く上のぼらむとする人間(ひと)よ切なし

 

この相反する感情が、どちらが前にあったのかはわからないけれど、願わくば後者、人生へのなお強い決意があるものであってほしい。たとえその人生が、どんなに理不尽なクソゲーであったとしても。

 

「その通り、人生なんてクソゲーだよ、楽しめる奴が勝者なのさ…」

 

「それがどんなクソゲーでも?」

 

「そう、例えどんなクソゲーでも、私達は配られたカードで戦うしかないんだから、まずは何でも楽しもうって気持ちで、手持ちのカードで精いっぱい楽しむしかないのさ…」

 

--Grisaia Phantom Trigger Vol.3

 

自らの運命を知りつつもなお高みを目指した、切ない彼とそして彼女らに幸いあれ。僕も切なくありたい。

 

 

【ゲーム】アオイトリ 体験版第2弾 (Purple software)

はじめに

この記事は以下の人に向けて書いた;アマツツミを遊んで感動した人、そしてそれゆえにパープルの作品はお腹いっぱい、しばらくはちょっといいかなと思っている人。ようは3ヶ月前の自分*1である。

 

公式サイトにあるイメージボード、ヒロインだけでなく主人公にも用意されている印象的な一枚絵だけど、当初はこれだけ見てだいたい好きな感じの作風だとわかったから(特に黒髪の子の良さみ;-)、体験版は遊ばずに発売日まで待つのもありかなと考えていた。けどここにきてツイッターを何気なく覗いていたら、公式からの体験版第2弾公開とのつぶやき、そしてそこでは黒崎小夜、例の黒髪の子が気怠げにこちらを見ているという時宜を得てしまったので、少しだけ余裕もあることだし遊んでみようと相成った。

 

 

実際にやってみると良い意味で予想を裏切る展開、イメージボードだけでは想像もつかなかった彼女らにまみえるのは新鮮であり僥倖でもあり、それは同時に本作の積極的な購入を決める動機にもなりえるものだった。かつて7月の時点で誠実な制作サイドが薦めていたように、プレイしてみないとわからない点は色々とあるものだ。

 

以下ネタバレ注意です。君は続きを読んでもいいし、また続きを読むことなく、体験版第2弾をダウンロードして遊んでもいい。

 

http://www.purplesoftware.jp/products/aoitori/#trial

 

  • はじめに
  • 全体の様子
  • メアリー・ハーカーの様子
  • 黒崎小夜の様子
  • 海野あかりの様子
  • おわりに

 

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【読書】小説家という職業(森博嗣)

はじめに

森博嗣の三部作(と呼んで良いものかどうか)である「自由論*1」「工作論*2」「小説論」のうち、本書は「小説論」にあたる第三作目。

  

小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)

 

 

本書を久々に読み返してみたらすごく面白くて、他の2冊とともにもう一度読み直そうとなったのが、これら三部作を記事にしようとしたそもそものきっかけだった。これがもう2年も前の話。

 

  • はじめに
  • まえがき / 第1章 小説家になった経緯と戦略 / 第2章 小説家になったあとの心構え
  • 第3章 出版界の問題と将来 / 第4章 創作というビジネスの展望
  • 第5章 小説執筆のディテール
  • あとがき
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【ゲーム】アオイトリ (Purple software)

追記

体験版第2弾を遊んだので感想を書いた。

hina747.hatenablog.com

 

 

 

はじめに

美少女ゲームブランドのPurple software、以前に感想記事 *1 を書いたアマツツミを出したブランドだけど、その新作のティザーサイトとムービーが先日公開された。アマツツミの発売が去年の7月だから、そこから数えるとちょうど1年が経ったタイミングでの新作発表となっている。僕は公式ツイッターの予告ツイートを公開2日前くらいに見かけて、発表前に知ることができたのはまたもや僥倖といったところ。そんな新作のタイトルは『アオイトリ』、ググラビリティの低さが少し気になりつつも、公開されたティザームービーは以下。

 

www.youtube.com

 

本来であれば体験版の公開後に遊んだ感想でも上げるのがセオリーなんだろうけど、でも体験版を今後遊ぶかどうかわからないのと、ティザーサイトをつらつらと眺めているうちに結構書けてしまったから、この辺でひとつまとめておくことにする。以下ネタバレはありません。

 

  • 追記
  • はじめに
  • タイトルロゴの感触
  • ティザームービー
  • 経緯を語る
  • 物語構造の変更
  • おわりに
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