ひながたり。

writing practice as practice flight

読書

サリンジャー 「エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに」 読んだ

はじめに 本作、ナイン・ストーリーズに収録された物語のうちの一編で、原題は "For Esme with Love and Squalor"。僕は野崎孝訳の新潮文庫版で読んだ。副題にある汚辱というのは、英語の原題だとsqualorとなっていて、英英辞典*1を参照すると "dirty and un…

DCEXPO 行った (1年ぶり4回目)

毎年この時期になると日本科学未来館で開催されるDCEXPOに行くのが恒例となりつつあって、今年も行ったので何か書き残しておく。 www.miraikan.jst.go.jp DCEXPO、正式名称をDIGITAL CONTENT EXPOといって、毎年10月になると4日間くらいの日程で開催されます…

横井軍平、牧野武文 「横井軍平ゲーム館」 読んだ

はじめに 本書、もともとは1997年に発行された書籍を復刊したものだけど、珍しいことに2度目の復刊ということ、それに同じ著者による別の横井軍平本も存在していて混乱しがちなので、以下に時系列を整理しておく。 横井軍平ゲーム館 (1997年、アスキー) ゲ…

はら 「うさぎたちのがっこう」 読んだ

以前に記事にした「四人制姉妹百合物帳」*1、僕が買ったのは星海社文庫版だけど、この本はもともと同人誌として発行されたもので、同人誌版の挿絵は本書の作者が描いてるとのことだった。当時の記事*2見るとわかるけど、絵に独特のすべすべ感あって良かった…

今野浩 「ヒラノ教授の論文必勝法」 再読した

はじめに 以前の記事*1、「何を」と「どうやって」の境界をポール・グレアムの「ハッカーと画家」から引用したけど、そういえば同じ話題が本書にあったなということを思い出して、もう一度読んだ。 「できる研究者の論文生産術」*2は、タイトル通り論文に関…

jadda+ Issue2 読んだ

はじめに まずは特設サイトをご参照ください。格好良い。 【jadda+ C88新刊】チーム制作が苦手なアナタのための、一冊まるごと「チームで同人誌をつくる」を特集した『jadda+ Issue 2』【1日目・東フ-01a】jaddaplus.com サークルjadda+が去年の冬コミで出し…

尾崎翠 「第七官界彷徨」 読んだ

雑 感 読了後に冒頭部分を振り返ると、驚くべきことに本作の内容をたった二文であらわしてて、この小説がかなり周到なつくりになっていることに気付かされる。 よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そ…

「できる研究者の論文生産術」 読んだ

はじめに 本書の帯にある謳い文句「良い習慣は、才能を超える」、僕自身もこれ信じてて、というか信じないことには、いろいろときびしい境地に達しつつある。研究者として生きていくうえで、論文を書くことの大切さ・重要性は身にしみてわかっているつもりだ…

倉島保美 『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』 読んでた

僕をして文章構造厨にせしめた本。いやでもなかなかよいものです。 論理的な文章が持つべき構造、もしくは論理的な文章の書き方といったほうが良いのか、「パラグラフ・ライティング」という世界標準のやり方があって、本書はそれを一冊使って説明してる。理…

石川博品 「四人制姉妹百合物帳」 読んだ

「サロンの仲間は姉妹のように愛し合うんだ」 四人制姉妹百合物帳 (星海社文庫) 作者: 石川博品,まごまご 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/12/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (8件) を見る 随分久しぶりに小説読んだ。冒頭の引用は本の帯に書…

幸村誠 「プラネテス(2)」 再読した、他

零戦の復元機体を見に行った話*1、機体そのものは美しくてかなり満足度高かったけど、当時のネット界隈の記事を読むと、この展示の真の目的は零戦を日本の空で飛ばすプロジェクトの宣伝らしかった。 「零戦を日本の空で飛ばしたい」とオーナーの熱意で里帰り…

堀越二郎 「零戦」 読んだ

去年の11月の話になるけど、さいたまスーパーアリーナで零戦の復元機体が展示されると聞いて、是非にと思って行ってみてた。 https://www.zero-sen.jp/event/ 展示会場のスタッフが実際に動かしながら説明するには、零戦の主翼端は50センチほど上側に折りた…

ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」読んだ

どうやって本書の存在にたどり着いたか、その経緯をすっかり忘れてしまったんだけど、2014年に読んだ本のなかではかなり印象に残ってる。表紙の紹介文にある一節、「自己にたいする強靭な誠実さ」という言葉は、今でも僕の心を捉えてやまない。この誠実さを…

ジョナサン・アイブの本読んだ

この本読んだ: ジョナサン・アイブ 作者: リーアンダー・ケイニ―,林信行,関美和 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2015/01/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ネット上での感想見てたら自分でも読みたくなった。紙の本をAmazonで買おうとし…

\[Git] cherry-pickすごく助かる

『Gitポケットリファレンス』をつらつらと読んでたら見つけた。 チェリーピックは、あるブランチの特定のコミットを選択して、現在のブランチに反映します。 特定のコミットだけというのがキモで、これずっとやりたかったんだけどVCSの設計哲学的にできない…

SWITCH Vol.33 読んだ

SWITCH、これまで買ったことなかったけど、今月号の特集がネ申ゲー100だったので買ってみた。きょうびシューティングゲームなんて流行らないよねーと思いながら眺めてたら、ゲーム音楽のところでOneohtrix Point Never(ワンオートリックス・ポイント・ネヴ…

宮野公樹「研究発表のためのスライドデザイン」

第2章にある一文が、本書の効用を端的に示しているといえるでしょう。 これまでは、どうすれば「わかりやすい」スライドを作成できるのかといった基準が何もわからない状態だったかもしれませんが、これからは、少なくともここで紹介してきたスライドデザイ…

森博嗣 「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか」

第5章にある本書の結論が以下のとおり。 いずれにしても、大事なことは、「もうちょっと考えよう」という一言に尽きる。これが、抽象的思考に関する本書の結論といっても良い。あまりにも簡単すぎて、「え、それだけ?」と驚かれたかもしれない。 「え、それ…

綾奈ゆにこ「ちいさい百合みぃつけた」

まず一番に挙げておきたいのは、百合とはなにか、という問いに対するひとつの答えを、本書から見つけられたこと。コラムに出てくる以下のくだりを読んだとき、はっとさせられると同時に、僕自身がおのずからこの言葉を語り得なかったことを少し残念に思った…

力をそぐ質問と力を与える質問

タイトルは以下の書籍からの引用です。 20代で身につけたい 質問力 (中経出版) 作者: 清宮普美代 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版 発売日: 2014/04/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 研究で周りの人と議論なんかをしていると、相手…

わたしを構成する三大百合作品

はじめに ちいさい百合みぃつけた 作者: 綾奈ゆにこ,HERO 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2014/11/22 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る 月刊ニュータイプでの連載が書籍化された『ちいさい百合みぃつけた』の特別コラム1…

梅原大吾 「勝負論」 - 勝負師のための幸福論

本書はだいぶ昔に買ってあったんだけどちょっと手付かずになっていて、でも『東大卒プロゲーマー』に感化されたこともあって*1、今回ちゃんと読んでみた。第1章が相当面白いです。 ただ深く自覚することになったのは、結局僕はひとりの世界にいるよりも、誰…

竹内薫 「超ひも理論とはなにか」

膨大な人智を前にしたときのわくわくする気持ちを、久方ぶりに思い出したよ。 1年ぶりくらいに図書館を訪れた。大学に入って学部生の頃は毎日のように通っていたんだけど、本格的に研究を始めてからは行く機会も少なくなって今に至る。それでも研究を始めた…

ときど 「東大卒プロゲーマー」

はじめに疑問 僕自身は格闘ゲームを滅多にやらないんだけど、それでも対戦動画や、あるいはその界隈を覗いてみたくなることがときたまあって、そのたびにいつも疑問に思っていた。 「格闘ゲーム界なんていうのは、新作が出るごとに自分の経験値がリセットさ…

山川方夫 「夏の葬列」

「教科書に載っている文学作品はおしなべて面白くないと思っていたけど、この『夏の葬列』だけは面白かった」というような趣旨の新聞記事を、だいぶ前に見かけた記憶があって、爾来もう一度読みたいなと思っていた次第。教科書では読んだことがあったんだけ…

Pythonのおばけ

「影響力の正体」の第3章をつらつらと読んでいたら、以下の言葉を見つけた。 “愚かな”一貫性は、偏狭な心が化けたものである この言葉に先立って、本文ではラルフ・ウォルドー・エマソンの名言とある。どこかで見たことあるなと思っていたら、Pythonのコーデ…

ZUN 「東方香霖堂」

僕自身がどうして日記を書き始めたのか。その始点をふと振り返ってみると、古い日記の始めに以下の引用文を見つけた。これこそが、本書の第十八話「月と河童」の冒頭からの引用。本書の出版は2010年だけど、元原稿はWeb記事で、掲載がたしか2008年だったはず…

和田彩花 「乙女の絵画案内」

新幹線に乗ると本を読む時間・記事を夢想する時間が確保できて助かる。先日は発車時刻の数分前に急いで本屋に飛び込んだんだけど、あたりをつけていた新書のタイトルをすっかり忘れてしまったので、ぱっと目に入った本書を買ってみた。表紙買いであることは…

ラッセル 「幸福論」 - ねたまない

三蔵*1や音楽が見える男*2が幸福になるためにはどうすればよかったのか。この問いに対して、哲学者のラッセルが簡潔に解を与えてくれる。 手に入る楽しみをエンジョイし、しなければならない仕事をし、自分よりも幸運だと(もしかすると、てんで誤って)思っ…

中島敦 「狼疾記」

虎になる運命を回避したら、今度は狼になってしまった。どうあがいてもバッドエンド。 ちなみに青空文庫で読めます。*1 養其一指、而失其肩背、而不知也、則為狼疾人也。 上記一節から始まる狼疾記は中島敦の作品。中島敦といえば教科書にも載っている「山月…

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