ひながたり。

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能登麻美子 「おはなしNOTE」 - 夢十夜

眠りしなに夏目漱石の「夢十夜」の朗読をぼちぼちと聴いている。声優の能登麻美子が読み手をつとめる朗読CD「おはなしNOTE」には、これまで番組で放送された18篇の朗読のほか、ボーナストラックとしての前述の夢十夜が全十夜ぶん、時間にして約70分もの長編が追加収録されている。夢十夜を聴きながら寝ると不思議な夢が見られそう、と録り下ろしトークパートでは紹介されているけど、なんだか怖い夢しか見ないような気がしていて、それでも彼女の声質と相まった物語の幻想的な雰囲気には抗いがたく。

 

第一夜、夢の中の女が死んでからの場面

自分は苔の上に坐った。これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石を眺めていた。

から始まる、百年間待ち続けるくだりは、本当に長く感じる。一つ、二つと数えながらも、その計数が未来永劫に続くかのような、何時終わるともわからない不安な気持ちになる。一方で、女が百合の花となって現れる場面

すると石の下から斜に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。

から始まるくだりは、頭の中でぽんぽんと情景が浮かんでくる。前の場面との対比もあるんだろうけど、あまりにもリズム良く朗読するものだから、文章としても短いんだと感じてた。

 

ところが、いざ実際に青空文庫で原稿*1を読んでみると、朗読で抱いた印象とは違っていたのに気づいた。後者の場面は前者の場面にはいかないまでも、それなりに文字数がある。試しに手元のモレスキンに書き写してみても、結構ボリュームがあってびっくりする。このように聴覚と視覚のあいだで認識のズレを感じるのは面白い。それだけ印象を引っ張ることのできる、優れた朗読ということかな。

 

それにしても能登麻美子の声質は本当に良いもので、ゲームだけでも怒首領蜂最大往生の真里亞だったり、CLANNAD一ノ瀬ことみだったりと、思った以上に僕の琴線に触れたキャラが多いということにあらためて気づく。あとはなんだろう、個人的にショパンとかのピアノ曲が好きなんだけど、彼女の声質はピアノを想起させるな、と思ったり。

 

ジャケットだけAmazonの商品紹介から借りるけれど、超A&Gショップのウェブサイト*2で普通に買える。

 

 

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