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ひながたり。

writing practice as practice flight

わたしを構成する三大百合作品

読書

はじめに

ちいさい百合みぃつけた

ちいさい百合みぃつけた

 

 

月刊ニュータイプでの連載が書籍化された『ちいさい百合みぃつけた』の特別コラム1では、「わたしを構成する三大百合作品」と題して3つの作品が紹介されています。数多くの百合作品に触れてきたであろう著者が厳選しただけあって、コラムからはそれぞれの作品にたいする、並々ならぬ熱意が伝わってきます。そこで僕自身も同じようにして、3つの作品を選んでみたらどうなるかな、という試みです。

 

 

少女セクト

少女セクト (メガストアコミックス)

少女セクト (メガストアコミックス)

 

 

全2巻。第1巻は1話完結のオムニバス形式、第2巻では主人公である桃子と思信を中心に物語が展開されます。絵の美しさとウィットに富んだ台詞回しが秀逸な本作ですが、強く印象に残っているのは1巻第7話の終わり、寮にやってきた桃子に対して、ベランダで思信が告白するシーン。

 

――ありがたい事にね 私の事好きって言ってくれる人が大勢いてくれるわ

――でもね 私から誰かに「好き」って言った事はまだないの

――あなたが好き

 

この場面が台詞・描写あわせてとても印象的で、深夜に読んでいて魂が滾ったのを覚えています。好きなカップリングは1巻第5話の旦蕗と雪華。旦蕗のことが好きだけど、でも素直になれない雪華がかわいい! 旦蕗は旦蕗で桃子が気になるけど、雪華のことも決して嫌いじゃないんだろうなあ、というのも伝わってきます。腐れ縁のもやもやと、少しばかりの切なさを感じさせてくれるお話でした。

 

1、2巻それぞれでおまけの章が収録されているのと、加えて2巻には本編の後日談、そしてエピローグも追加されていて、物語世界をより深く楽しめます。ずいぶん前にアニメ化もされたようですが、こちらは見ていないのでなんとも。ちなみに同じ著者による『星川銀座四丁目 (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)』も良いものです(が、今回はバリエーション優先ということで除外しました)。

 

 

まんがの作り方 

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

 

 

全8巻。この作者ならではの繊細な空気感が魅力の本作です。とりわけ2巻10話で描かれる先輩と森下のやりとりは、少ない台詞ながらも両者の心情の機微が伝わってきて、グッとくるものがあります。一方で、先輩の弟やその周辺が織りなすシュールな展開には思わず笑ってしまう場面も。キャラクターの服装はとても細かく描かれていて、ファッションにたいする作者の深い造詣がうかがえます。

 

百合々々しいやりとりだけではなく、まんがの作り手としての葛藤・コンプレックスといった、登場人物の内面の部分が随所に見え隠れしているのも本作の魅力だと思います。若くしてデビューするもその後が続かず、当時と今とのギャップに葛藤する先輩、傍から見ればまるで天才なのに、本人にはその自覚がまったくない(ように振る舞う)森下、人一倍の努力をしているつもりでもなお厳しい現実に直面せざるを得ないアシスタントも加わり、三者三様で物語は一筋縄には進みません。

 

 

ゆるゆり 

ゆるゆり (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

 

「作者は4人いる」と噂されるまでの驚異の刊行ペースで既刊12巻。スピンオフ作品の『大室家 (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)』もあります。アニメは第2期まで放映、さらには劇場版も公開(本日!)と、今もっとも勢いのある百合作品の1つではないでしょうか。

 

描かれているのは女子中学生の何気ない日常ですが、冒頭に挙げた『ちい百合』のテーマである、小さい百合はどこにでもあるよ、ということを体現した作品です。絵がかわいいのは言うまでもありません。個人的には京子推しで、才能の無駄遣いでバカになれる能力(もちろん良い意味で)が素敵です。あと時折垣間見える優しさも。26話のUFOキャッチャーの場面とか、55話のかまくら作る話とか。

 

 

あとがき

当初『ちい百合』を読んで感想を書こうと思っていたところを、百合作品についてあれやこれやと考えているうちに楽しくなってしまい、本記事のほうが先に完成と相成りました。『ちい百合』本編の感想もおいおいアップしていきたいのと、今回取り上げたそれぞれの作品についても、語りたい部分はまだあるので、別記事で書けたら書きたいな。

 

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