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ひながたり。

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ジョナサン・アイブの本読んだ

読書 コンピュータ

この本読んだ:

ジョナサン・アイブ

ジョナサン・アイブ

 

ネット上での感想見てたら自分でも読みたくなった。紙の本をAmazonで買おうとしたら売り切れで、在庫が復活する気配もなかったので、仕方なく外に買いに出た。池袋のジュンク堂、とても大きいなと思ってたら、ここが本店らしかった。

 

縦糸と横糸が綴る物語

タイトルは本書中の節題から借りてる。人生における人の縁とは、まことに不思議なものだなとつくづく思う。ジョナサン・アイブ本人が天才であることは論を俟たないけど、その過程ではいろんな人物が彼の世界線に干渉してる。例えばロバート・ブルーナー、彼こそがアイブをアップルに引き入れた張本人で、しかもアップル社内にデザインスタジオを設立して、アイブの活躍する素地を作った人。

それよりもおそらく重要なのは、ブルーナーがこのスタジオを設立し、偉大な才能を採用して文化を創ったことだ。「ボブ(ブルーナー)はジョニーのデザインチームの基礎を創っただけではない。城を建てたんだ。企業内のデザインチームがクールと言われるようになったのは、ボブの功績だ」と言うのはクライブ・グリナーだ。 (p. 139)

そしてジョン・ルビンシュタイン、アイブの元上司で、アップルを辞めようとしていたアイブを思いとどまらせた人。こののちにジョブズが復帰し、アイブは大活躍する。

辞めようとするジョニーを引き止めたのは、新しい上司のジョン・ルビンシュタインだった。(中略)「しばらくは苦しい状態が続くが、会社を立て直せたら、そこから歴史を作れると説得した。そう言ってジョニーを引き止めたんだ。そして、これからはデザインが社内できちんと評価されるようになると請けあった」 (p. 145)

もしこの2人がいなかったら、iPodから始まる一連の製品群はこの世に存在しなかったかもしれない。ちなみに前者のブルーナーは、20周年記念マック発売時のいざこざから、アップルに愛想を尽かして去っていくし、後者のルビンシュタインもまた、以降のアイブとの軋轢からアップルを去っていく。このあたりからも登場人物たちの数奇な運命を感じる。

あとはティム・クックもそう。アップルの製造部門を改革して、アップル製品の普及に大きく貢献してる。このへんのロジスティクスの話にも大変興味があったんだけど、本書ではそんなに詳しく触れられていない。

 

エンジニア主導からデザイナー主導へ

タイトルは本書中の節題から借りてる。ジョブズ復帰前のアップルの製品開発がエンジニア主導だったのを、ジョブズ復帰をきっかけにしてデザイナー主導に変わったのが、エポックメイキングなことだったとして強調されている。あるいはエンジニアはデザイナーの要求に対して、できない理由ばかり並べ立てたり*1、あるいは無理ですと応じたり*2、とかく対立項的に書かれている。これだけだとエンジニア側にネガティブなイメージしか持たないけど、でも冷静に振り返ってみると、製品に対するエンジニアリングの貢献は決して小さいものではない。以下の部分にはちょっと感動した。

確執があったとはいえ、ジョニーと当時の上司ルビンシュタインは、共に過ごした時間のなかで、アップルのデザイン言語をマルチカラープラスチックからモノクロプラスチックへ、その後さまざまなメタル素材へと進化させた。さらに重要なことに、それぞれの段階でデザインと製造は車の両輪のように並んで洗練されていった。 (p. 279)

エンジニアリングの側としては、デザインと対立せずにその力を借りて前に進む。逆にエンジニアリングからの力でもってデザインを底上げする。本書で紹介されているとおり、iPodが実現できた背景には、HDDの超小型化という技術面でのブレークスルーが存在した。そんな両者の関係を築けたら素晴らしいと思う。

上記引用部分、かつては強い信頼関係で結ばれていた上司と部下が、今となっては反目しあって別の道を歩むというのは、大変にドラマチックな展開ではある。でもさすがに自分の身には起こって欲しくないと思う。

 

おまけ

インスピレーションを求めて海洋生物学の本を買い込み (p. 80)

ここでダライアス*3思い出した。

WE ARE NOW RUSHING INTO i ZONE. BE ON YOUR GUARD!

 

 

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