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ひながたり。

writing practice as practice flight

「できる研究者の論文生産術」 読んだ

読書

はじめに

本書の帯にある謳い文句「良い習慣は、才能を超える」、僕自身もこれ信じてて、というか信じないことには、いろいろときびしい境地に達しつつある。研究者として生きていくうえで、論文を書くことの大切さ・重要性は身にしみてわかっているつもりだけど、いざやろうとすると腰が重すぎてどうにも動けない。それを良い習慣で打破しましょう、という趣旨の本です。

 

タイトル、原書では "How to Write a Lot" だけど、和訳の本書では「できる研究者の論文生産術」になってる。原書が持つ学術的文章のニュアンスを保ちつつ訳すのが難しいから、こういう和訳タイトルになったんだと想像するけど、こういう意識高い趣きのあるタイトルだとちょっと恥ずかしくて、少なくとも周りの研究仲間の前では読みたい気はしない。ここはむしろ意識低い感じで、「できない研究者の論文生産術」とでも題して、彼ら僕らのアンチパターンでも集めたほうがいいんじゃないか。人は往々にして、他人が何を持っているかよりも、自分に何が足りていないかを自覚するほうが簡単だというものです。

 

第1章の導入では、たくさん書ける研究者になりましょうということで、「計画立案」「短期目標」「進捗把握」「習慣化」の4つが挙げられてる。こんなのはもう誰でもわかりきってて、こうしたことがもうできている研究者にとっては本書はいらない。できない研究者の悩みはいつでも、これらをどうやって実現するか、という "how" の部分にあって、本書ではここを焦点にしてる。ある意味泥臭い話の集約でもあるけど、個人的には好きですよ。

 

 

第2章 言い訳は禁物

第2章、できない研究者がやりがちな言い訳4つを撃破する。以下の言い訳が口をついて出てくるなら、本書はきっと助けになってくれるはず。

 

その1「書く時間がとれない」「まとまった時間さえとれれば、書けるのに」

その2「もう少し分析しないと」「もう少し論文を読まないと」

その3「文章をたくさん書くなら、新しいコンピュータが必要だ」(「レーザープリンター」「よい椅子」「もう少しよい机」版もあり)

その4「気分がのってくるのを待っている」「インスピレーションが湧いたときが一番よいものが書ける」

 

とくに言い訳その1、書く時間がとれないというのは僕自身もすごく心当たりがあって、それはこのブログの更新頻度にあからさまに表れてる。でもこうした言い訳を撃破していく本文は、読んでるとけっこう納得感があって、スケジュールを立てて執筆することが大事なんだなと思わせられる。そしてひとたびスケジュールを立てたら、万難を排してそれを死守することが重要だと著者は主張する。それこそが文章をたくさん書くための唯一の方法であり、げんに偉大な書き手たちはみんなそれをやっているよと。

 

 

第3章以降

本書、序章と終章以外の各章では、章末に結論がまとめられてて、これが簡潔ながらもポイントが押さえられていて大変わかりやすい。これがあるおかげで、もはや僕自身では章の内容を簡潔に語りうる言葉を持ち得ないくらい。

というわけで以降はタイトルだけ並べると、第3章は文章執筆の動機付けに関する話、第4章は周りと励ましあうことで執筆習慣を維持する話。個人的には第4章までの執筆のマインドセットの話が本書のハイライトだと感じてて、それだけでもう読む価値があったんだけど、でも執筆対象が学術的文書という性質上、わかりやすい(そしてやや固めの)文の書き方についても言及してる。それが第5章の文体に関する話。原書が英語なので、基本的に英文体に関する話題だけど、対応する日本語訳も巧みに変わっていて面白い。そして第6章でいよいよ学術論文を書き、第7章ではさらに一歩進んで本を書く。終章の第8章はまとめです。

 

 

おわりに

Amazonの紹介ページ見てたら、論文作法・文章技術のカテゴリでベストセラー1位になってて、できる研究者が量産されてる未来が見える。

 

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

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