ひながたり。

writing practice as practice flight

名古屋航空宇宙システム製作所史料室行った

はじめに

11月11日、おりしも1が4つ並んだこの佳き日に、三菱航空機が手がける国産旅客機MRJが初飛行したのは記憶に新しいところ。詳細についてはAviation Wireの記事が丁寧にまとめられていて良い。少しばかり音速が遅いあたり、あと記事リンクが埋め込みにならなくて味気ない点、どうかご寛恕ください。ともあれ本当におめでとうございます。

 

MRJが初飛行 YS-11以来53年ぶり、”11″並びの日

MRJ、初飛行成功 離陸の瞬間「飛びたいと言っているようだった」

 

初飛行が実施されたのは名古屋空港で、この空港のすぐ隣には三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所と、そして今回取り上げる史料室がある。詳しくはウィキペディアの記事*1に譲るけど、三菱っぽい感じの航空機と資料が展示されています。今となってはなかなかお目にかかれない大戦時代の復元機、零戦やロケット戦闘機の秋水が見られるというので行ってきた。なお上記ウィキペディアの記事、あるいは三菱重工のウェブサイト*2にもある通り、見学には予約が必要なのでご注意ください。

 

 

零戦見た

展示してある零戦は52型で、それまでの型番と違って排気管が外に出る形状になっているから、見分けるのは多少は楽かもしれない。説明員らしき方がとても丁寧に解説してくれて、機体がとても軽く作られているのに対してプロペラは重くできてること、そして実際にプロペラブレード持ち上げてみたら想像以上に重くて驚いた。プロペラブレードには機銃痕が残ってて、往年の激しい戦闘が偲ばれた。復元機体の美しさと当時のパーツの朽ち果てた姿が並ぶコントラストが印象に残ってる。

 

零戦を語る資料として、僕は堀越二郎の「零戦*3のほかに、清水政彦の「零式艦上戦闘機」を持ってて、こちらはきわめて論理的に零戦を分析していて頼りがいがある。エンジン馬力を高くできなかったという境界条件が最後まで尾を引いて、大戦末期の劣勢につながったんだと理解してる。げんに零戦の栄エンジン1200馬力に対して、各国は2000馬力級のエンジンをどんどん採用していて、この差を埋めるには厳しいものがあった。それでも本書で指摘されている通り、航空機自体が当時最新鋭の技術だったのだから、それを自国で製造して、しかも安定して運用できたというだけで相当すごいことだと思う。実物を目の当たりにして、先人たちの努力に頭が下がるのと同時に、身の引き締まる思いを抱く。

 

 

秋水見た

秋水はドイツのロケット戦闘機Me163をベースにしていて、でも十分な設計データが得られなかったという理由で、その一部は日本的な改良が加えられてる。無尾翼機という機体形状、そして燃料と酸化剤を積んだロケットエンジンは、零戦のそれらとは大きく異なっていて、これら2つの戦闘機が同時代に存在したということに、少しの不思議さを覚える。技術資料とか設計図面も残ってて気持ちが高ぶったけれど、ガラスケースに収められてて表紙しか見られなかったのは残念。他にも燃料保管瓶とか展示してあって、こちらはさすがにリアリティありすぎて恐れ多かった。

 

秋水を語る資料として、僕は Aerospace Engine Review Vol.5 を持ってて、これは同人誌なんだけど、Me163の開発から秋水に至るまでの一連の流れ、そしてエンジンの仕組みを解説していて、こちらもとても勉強になった。爆撃機の迎撃に特化して絶大な高速高空性能を持つ反面、たった数分しか飛行できないという、賛否両論あるだろうけど、こんな思い切った・尖った設計はなかなかできないだろうという気がしてる。設計自体はドイツからの借り物とはいえ「60年以上前の厳しい状況下において約1年で完成させた当時の先人たちの努力とテクノロジー」*4を感じさせられた。

 

 

参考文献

本文中で取り上げた清水政彦の「零式艦上戦闘機」はこちら

新潮選書 零式艦上戦闘機

新潮選書 零式艦上戦闘機

 

 

榎村なつき「Aerospace Engine Review Vol.5」はAmazon商品紹介が無いから、ZINの商品ページを借りる

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 Aerospace Engine Review Vol.5 HWK 109-509X KR-

 

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