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ひながたり。

writing practice as practice flight

つくしあきひと 「メイドインアビス (4)」 読んだ

読書

はじめに

"Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein."

(おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ)

引用は本書からではなくニーチェの例のやつ。けれど本書の描く探窟家たちもまた、深淵を覗き込み、深淵から等しく覗き返された人たちばかりである。まったくもって業が深くて度し難い。

 

年末にも少し記事*1にしてたメイドインアビス、最新4巻が出たということで時宜を得たので書く。いつの間にか発行されていた4巻をamazonで見つけて買って、でも後で調べたらCOMIC ZINの店舗購入特典*2がすごく良さそうだったので、秋葉原まで出向いて改めて買ったのだった。

 

 

1巻のあとがきにあるように、もと絵本用に構想した作品だからなのか、それともこの作者ならではの描き方なのか、柔らかい線で描かれるキャラがとにかくかわいくて良い。この作者がいかに少女ともふもふを愛しているかが見て取れる。とはいえ業の深い深淵だけあって、そこに出てくるのはかわいいキャラだけじゃなくて、動けるデブ*3は勇ましいし、怪力おばあさん*4は美しい。そして4巻で登場しまくる宿敵は見た目からして度し難くて、こうしたサブキャラたちもまた独特の・魅力的な造形になってる。

 

単行本の表紙になると絵に色が付いてさらに良い。まるでHDRのような鮮やかな深淵の世界を背景に、主人公の女の子とロボット少年、3巻ではふわふわのぬいぐるみ*5と、4巻では新たに登場する可憐な少女が描かれる。単行本の表紙と裏表紙で絵が繋がってるってこれまで気付いてなくて、いま改めて見直しながら美しさを堪能してる。

 

 

内容

そんな一見して牧歌的なイラストを持った本書だけど、中を開くとそこに描かれるのは、可愛らしい登場人物たちにはあまりにも過酷すぎる地底探索で、本書がただのお気楽な空想冒険記ではないことを如実に物語っている。得体の知れない危険な生物は出てくるし、それに名うての探窟家たちも現れて、これがじつに度し難いんだけど、とにかく色々と出てくる。そんな状況を前にして、探索に臨むのは年端もいかない女の子、窮地に陥らないほうがありえないというもので、作者はそれをこれでもかというほどに見せつけてくれる。その窮地への陥り方が半端無くて、読んでいて辛くなるのと同時に、怖いもの見たさで先を読みたい気持ちにも駆られる。裸吊りが見たいわけでは決してない。

 

新刊4巻では全部で7層ある深淵のうち、第5層へと入り、そして第6層への入り口までたどり着く。残るはあと2層ということで、深淵への旅も佳境にさしかかりつつある。そこにはもふもふの癒やしと、こだわりの地底生物料理がある。夜明けの花の意味を名に持つ、可憐な少女にも出会う。一方でロボット少年の片腕はもぎ取られ、主人公の少女は苦痛のあまり失禁し、また花畑に迷う探窟家は、あろうことか味方の手で焼き殺される。因縁ある宿敵との直接対決、ついに決着かと思いきや、未だ明かされていない深淵の秘密が、物語を牽引しつづける。久しぶりに童心に帰ってわくわくしながら楽しめる、でも大人向けのリアリティを持った作品、もうしばらくは続きそうなので本当に嬉しい。

 

 

余 談

  • 例によって早速表紙カバーを外す→Ausgezeichnet!!!

 

 

*1:潜る年末 - ひながたり。

*2:COMIC ZIN -コミック・書籍インフォメーション-

*3:COMIC ZIN店舗購入特典より引用。この小冊子めっちゃ面白い

*4:同上

*5:同上

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