ひながたり。

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Purple software 「アマツツミ」 体験版第2弾遊んだ感想

追記

製品版が発売されたので新たに記事を書いた。

 

hina747.hatenablog.com

 

 

以前に書いた体験版第1弾の感想*1は幸いにも多くの方に見ていただけたようで、ちょっと頑張って書いた僕としては素直に嬉しい。けれどここで今いちど強調しておきたいのは、感想を読んでもし作品に興味が湧いたならば、是非とも実際に体験版を遊んでみて欲しいということです。僕が書いた感想はあくまでも一個人の感じた主観であり体験であって、せいぜい作品に触れるためのきっかけに過ぎない。本当に大事なものは目に見えない、じゃなくて自分自身の体験として遊んでみて、そして自分のこころで判断して欲しい。体験版はすぐそこにある。

 

 

Purple softwareの新作のアマツツミ、だいぶ心待ちにしてるのをもはや認めざるをえないんだけど、先日新たに体験版第2弾が公開されたので書く。以下ネタバレ注意です。

 

 

 

こころ本筋ルート

開発コラムでも述べられているけど、体験版第2弾ではこころ本筋ルートが丸々全部含まれてて、主人公とこころ、それから母親のあずきも含めた織部家に焦点が当てられてる。こころは体験版第1弾、つまり本筋ルート前半のときと少し印象が変わって、良い意味での天然さを持ったお姫様でちょっと見直した。

 

ほたるは物事が可能な限り、善意をもって捉えられることを願っていた。

失敗や後悔を基準にするよりも、成功や希望を基準にするべきだと。

『願っていた』

ほたるも結局、自分に言い聞かせなければ、その考え方を意識できなかったのだろう。

しかし、それを自然に体現しているのが、こころなのだ。

 

物語中盤での困難においてなお、物事をより良い側から捉えようとし、しかもごく自然にそれをなせるというのは、もはやひとつの才能と言って良い。彼女の振る舞いに救われていたことに主人公はふと気付き、また読み手である僕らをもはたと考えさせてくれる。そんな素晴らしい素質を持ちながら、お兄ちゃんへの甘えたさ(けれど素直になれなさ)は遺憾なく発揮されてて、「知らない!」「”答えて”」「滅茶苦茶に甘えたいの!」の返しにはもう甘やかすしかない。

 

さきに述べたように織部家の3人の繋がり、人と人とのコミュニケーションの基本であって、また最も密なもののひとつでもある家族を描いてこころ本筋ルートは終了する。今回の体験版だけで相当なボリュームがあるのと、物語後半、オープニングテーマのインストをBGMにして過去シーンの走馬灯を見せられると、体験版なのにすでにエンディングの趣きが出てきて、なんとなくゲームを遊び切った感がある。けれど最後まで遊んだらその気持ちが一気に覆されて先が読みたくなって、物語の緩急の巧さに驚く。

 

 

冒頭のほたる

こころ本筋ルートとはいっても、それ以外のヒロインも少なからず登場するし、物語の大きなストーリーは粛々と進んでいく。その中でもほたるが冒頭で語る言葉はとても良くて印象に残ってた。まさか美少女ゲームの女の子に諭されるとは思ってなかったので面映ゆい。

 

「でも、もっと単純に、成功したいという人の想いの強さにだけ目を向けるべきではないでしょうか」

「自分で選んだ道を歩き、成功できたら嬉しいことだよ、って――」

「それを最初に夢に見て、最後まで信じて」

「進め」

「ただ、進みなさい」

「あるがままに。幸せのために」

 

人の想いのあるがままを肯定してくれる彼女の姿はとても尊い。けれど逆に、なぜ彼女はこれほどまでに、人の想いそのものに固執するのだろう? 彼女との共犯関係、主人公の言霊が効かないからこそ共有できる親密さというものが確かにあって、ただ体験版第1弾、つまり本筋ルート前半で見られたような少しコミカルで平和な関係性だったのが、後半では少しシリアスな雰囲気になりつつあった。まだ謎は多くて、それらが明かされるのは以降の展開待ちかしらん。

 

 

(体験版)最後の10分間

そして上でも書いたけど、体験版最後の10分間*2で穏やかさから一転して先が読みたくなる仕掛けになってて、鮮烈な体験できた。織部家が家族3人で喜ぶなか、深夜の病院でこころが会うのは、真打登場の何者か。しかもここで終わるかと思いきや、間髪入れずに愛が学園に現れる、それも織部愛として。「酷いわ、お兄ちゃん」このしゃべりがすごくSっぽい感じで、声優が実に良い仕事しすぎである。公式サイトの制服姿から察するに、愛も里から出てくることは予想してたけど、主人公が平和裏に連れてくるかと思ってたら、全然そうじゃなかった。上手く尾を引く終わり方、最後の10分を遊ぶだけで、もう購入を余儀なくされかねないので注意されたい。発売は7/29(予定)だそうです。

 

 

余 談

  • 「この際、誰も他人(ひと)を喜ばせることを狙ってなんかいやしない。教化すること、啓蒙すること、むしろそっちが本当の狙いなのだ。」 (サリンジャー野崎孝訳「エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに」*3

 

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