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ひながたり。

writing practice as practice flight

minori 「夏空のペルセウス」 遊んだ(前編)

はじめに

かがやきに、手をのばせ――本作で印象的だった場面を振り返るたび、このキャッチコピーに込められた勇気と気高さを想う。冒頭に挙げたキャッチコピーと、それ以外の様々なきっかけから始めた本作だけど、これまでに遊んできたゲームとはまた違った体験ができたので、それらについて書いていければ良い。そしてキャッチコピーにもあるかがやき、本作から感じられたこの言葉のありようを語れたら幸い。

 

以下ネタバレ注意です。

 

経緯

夏空というタイトル、そしてパッケージには抜ける青空と色鮮やかな向日葵を持つ本作だけど、僕がそこに至るまでには諸々の条件が重なってた。

 

まずあったのがアマツツミ、今年の8月くらいに遊んでたゲームだけど、これは感想記事*1を上げるくらいには印象に残っていて、そのおかげで夏感のある作品を遊びたいという心境にあった。時系列的には逆転してるけど、LAMUNATION!*2はその着地点のひとつだったのかもしれなくて、ああいう何も考えない感じのゲームもまあ良いんだけど、でももう少し意志の強い作品を遊びたいと思っていた。

 

もうひとつはminoriというゲームブランドの存在、もう10年以上も前から作品を出し続けている老舗のブランドだけど、僕はminoriについてはほとんど知らなくて、そのゲームを遊んだこともなかった。知るきっかけになったのは過去記事*3*4でも何度か引用している記事で、これはブランドの代表が美少女ゲーム業界の現状を語っているもの。

 

biz-journal.jp

 

この記事はそれこそ3年くらい前に読んでたんだけど、最近になってちょっと詳しく調べているうちに、ブランド名の由来らしいWe always keep minority spirit.というのが個人的に刺さった。そしてこのブランドのゲームをやってみたくなった。

 

試しにどの作品を遊んでみようかとなったとき、最新作のトリノラインはかなり気になっているけど発売までもうしばらく待たなければならず、すると上の引用記事での夏ペルへの言及、そのキャッチコピーと英語タイトルの格好良さと強さ、それにオープニング画面の右下にちょこっと表示されてるminori revolves the origin, the 1st hop.あたりに触発されて本作を遊ぶ運びとなった。

 

あとは最近流行りの映画である君の名は、その監督の新海誠からたどり着いたのがminoriだったというのも小さなきっかけではある。本作の背景の美しさは新海誠作品のそれを彷彿とさせるものではあったけれど、調べたら2008年の作品「ef - the latter tale.」を最後に直接的なつながりはなさそうというのが事の真相らしい*5。とはいえウェブサイトには「気持ち的にも技術的にも自作・minori作品間には相互にフィードバックがありました」とあるように、その影響はきっとminoriにも残っているんだろう。

 

 

体験

ペルセウスというのはギリシャ神話に登場する英雄*6ペルセウス座は夏の星座のひとつで、流星群をもたらすことで馴染み深い。そしてこの星座は本作でも重要な役割を果たすわけだけど、その詳細は後編記事に譲ることにしたい。タイトルロゴからは星座的なセンスが感じられて、また文字の崩しのデザインは縦書きと横書きの両方に対応できる汎用性があって素晴らしい。

 

ゲームを起動してロゴが出てくることもなく、いきなり表示される初期画面には静謐な風景、人物は描かれず、またBGMも流れない状況には少し戸惑う。静かな始まりは最後の盛り上がりを期待させるものではあったけれど、オールクリアしても結局のところ背景が変化しただけだった。けれどその静かな景色の遷移、日中の夏空から夜の星空へと変わり、再び夏空に戻るさまはやはり美しいものであって、全体を通して決して饒舌ではない作品ながらも、その中には確たる美しさを備えていることの象徴であるかのように思われる。

 

マニュアルには通り一遍の説明とともに、オススメのプレイ方法も示されていて、この設定で遊ぶと確かに心地良さがある。UIは少し不便に感じていて、というのもセーブや終了するのにいちいち右クリックメニューを辿らないといけなかったからなんだけど、実際には画面右下にマウスカーソルを置くことでメニューがポップアップするようになっていて、そこまで不便ではなさそう。このポップアップメニューの存在には遊び終えてからようやく気づいて、これは僕の察し能力の低さもあるけれど、もう少しアフォーダンスを良くしてもらえるとありがたかった。

 

物語を開始して最初に現れた音の臨場感のすごさ、これがずっと続くのかと思ったけどそんなことはなく、けれど以前に書いた*7ようにBGMからはピアノの良さが存分に感じられる。キャラの立ち絵と背景の組み合わせで場面を作るのではなく、いわゆるイベントCGのような注視の連続で物語が構成されていて、典型的な美少女ゲームとは異なる・リッチで充実した表現を体感できた。ビジュアルからはひたすらにコントラストの強さが感じられて、それは真夏の大正義あふれる素材、向日葵や太陽、入道雲、星空といったものに彩られた、夏のかがやきそのものであった。そんな世界で主人公は妹の恋と改めて向き合い、また透香と出会う。もちろん翠とあやめも居るのだけれど、最後まで遊び終えて改めて思うのは、この作品はつまるところは主人公と恋、そして透香の3人の物語なのだということです。

 

というところで前編は終わる。後編はまた近いうちに書きたい。

 

夏空のペルセウス タペストリー A 集合

夏空のペルセウス タペストリー A 集合

 

 

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