ひながたり。

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結構人というミルクホール

kekkojin.blog.jp

 

結構人というミルクホール、かつて文京区の千駄木にあって、その後に南阿佐ヶ谷に移転したお店だけど、つい最近閉店したらしいことを今日になって知った。千駄木にお店があった頃には何度か訪れていて、でも移転してからは一度も行っていなかったから、どうかなと思って久しぶりに調べてみたのだった。そしたら今月頭で店じまいしたとのこと、もし知っていたら閉店前に一度でも訪れていたのにと、相変わらずの自分の音速の遅さを残念に思う。

 

何のきっかけでこのミルクホールを知ったのか、おそらくはネットでそれらしいキーワードで検索して辿り着いたんだろうけど、千駄木にお店があった頃には縁あって何度か行っていた。かつて記事にしていた森鴎外記念館、これが文京区の千駄木にあって、ここを訪れたおりにはその帰りついでによく寄っていた。去年の手帳を見ると初めて寄ってみたのが2月、以来何度か訪れていて、とにかく一人で過ごすのには最高の場所だった。

 

hina747.hatenablog.com

 

静かなお店、席数はそんなに多くなくて、しかも二人以上では入れない尖った設定になっている。おひとりさま同士がお互いに知ることはなく、けれど同じ空間そして空気を共有している微かな親和性、そしてそれがもたらしてくれる居心地の良さ。こだわりをもって淹れられたコーヒーも素晴らしかったけど、でも僕は実のところコーヒーはあまり得意ではなくて(カフェインの摂取で心拍数が上がるのがわかる)、なのでいつもホットココアを注文していた。ホットココアは洗双糖の独特の甘み、他では飲んだことのない感じで美味しいのと、併せて注文した自家製のケーキもまたとても良かった。ちなみに飲み物は陶器のカップ、ケーキは陶器の皿で出てきて、このあたりも抜かりがないのだった。

 

静かな店内、しかしBGMはかすかに流れていて、そこではダライアス外伝のBGM(ステージクリアの曲)を聴き、また店内のレトロな内装と調度のなかには、いくつかのファミコンソフトが並ぶさまを視たように思う。でももう1年以上も前の話、記憶もあやふやになりつつあって、もし間違いがあればご容赦ください。もしかしたらあれは少しばかりの夢、内装と調度にあてられて見た時間遡行の幻影だったのかもしれず、しかし店内で読んだ伊藤計劃のハーモニーの内容は確かに憶えていて、しばらくののちこのブログの記事にまとめていた。

 

hina747.hatenablog.com

 

あるとき移転したことを知って、移転先は南阿佐ヶ谷、駅からもやや距離があり、どうやって行こうかと思案しているうちに1年が経って今日になってしまった。移転後の店内のレイアウトを見ることもなく、また店内にどんな本が置いてあったかを知る機会もなく終わってしまったのは残念でもある。店内の本を読む機会がなかったのはいつも本を持ち込んでいたからであって、上で書いたハーモニーしかり、あるいは一人の静かな生活を真似しようと、ヘンリー・ライクロフトの私記あたりも読んだかもしれない。

 

上で引用した森鴎外にかんする記事、そこでのあとがき程度にこのお店を紹介することもできたけれど、しかしここでの体験は最高だったから、森鴎外の話とはまた別にまとめたいと考えていた。それが結局今日まで放置し続けることになってしまい、しかも書き上げる動機となったのは残念な出来事で、それでもあの一人だけの素晴らしい空間を作り上げてくれた店主に対する感謝と、そして何か書ければと思ってこの記事を書いた。ツイッターを眺めていると今後の動向は未定な感じではあるけれど、望むらくはあのコーヒーとココア、そしてケーキを再び愉しめる機会と場所が得られることを。まずはお疲れ様でした、そして今までありがとうございました。

 

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