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【ゲーム】アオイトリ (Purple software)

はじめに

美少女ゲームブランドのPurple software、以前に感想記事 *1 を書いたアマツツミを出したブランドだけど、その新作のティザーサイトとムービーが先日公開された。アマツツミの発売が去年の7月だから、そこから数えるとちょうど1年が経ったタイミングでの新作発表となっている。僕は公式ツイッターの予告ツイートを公開2日前くらいに見かけて、発表前に知ることができたのはまたもや僥倖といったところ。そんな新作のタイトルは『アオイトリ』、ググラビリティの低さが少し気になりつつも、公開されたティザームービーは以下。

 

www.youtube.com

 

本来であれば体験版の公開後に遊んだ感想でも上げるのがセオリーなんだろうけど、でも体験版を今後遊ぶかどうかわからないのと、ティザーサイトをつらつらと眺めているうちに結構書けてしまったから、この辺でひとつまとめておくことにする。以下ネタバレはありません。

 

 

タイトルロゴの感触

アオイトリというのは「青い鳥」だろうか、それはロゴの青さ*2、そしてロゴにある鳥から窺えるものである。青い鳥と聞いて思い浮かぶのはメーテルリンクの童話、ウィキペディアの記事 *3 によればその主題は「死と生命の意味」とあり、死がつねに重要な主題に据えられていた前作を彷彿とさせる。

 

青い鳥 (新潮文庫 メ-3-1)

青い鳥 (新潮文庫 メ-3-1)

 

 

例によってロゴの字体を見てみると明朝体のカタカナ5文字、しかしここまで筆脈が明確な字体はそうあるものではなく、既成の字体をベースに手を入れているものと思われる。2文字目のオに見られる意匠は十字架を想起させ、そうこれは「学園(ミッション系の全寮制女子校※重要)*4のお話とのこと。そういう舞台は確かにとても大事で尊いものだと僕も思うし、そして僕も好きなたぐいのものでもあったので良さがある。

 

 

ティザームービー

今回のムービーからわかるのは冒頭のセリフ、5人のヒロインたち、冬、荘厳さ、暗い環境。以前にも書いてた通り、本作の原画家が描くところの棘の有る感じの少女は最高だし、今回の作品の雰囲気、暗さと重さを内包した空気にも良くマッチしている。とりわけ一人目に出てくるヒロインの尖った感じがとても良いのと、最後に出てくる子がkawaii

 

開発コラムで述べられているようにアマツツミとは対をなす作品、夏と冬そして人間と人ならざるものとの対比が言及されていて、また言及はないものの、和の空気のあったアマツツミに対し洋の雰囲気を纏ったアオイトリといっても差し支えないだろうか。

 

 

経緯を語る

経緯を語ることは一般的に善だと認識していて、その具体的な内容は以前の記事に書いていた通り。今回の新作の経緯を受けてとくに付け加えるところはない。

 

hina747.hatenablog.com

 

良いことをふたつ補足させていただくとすれば、ひとつはこうした経緯の公開が広報の意味合い、売るための手段であることは認めつつも、それ以上に誠実であろうとする姿勢が見えたこと。そしてふたつめが前作の評価軸を安泰に踏襲するのではなく、それを積極的に変えていく決意と挑戦があるということ。そこでは原画家が入れ替わり、またシナリオには他ブランドの代表が加わっている。とくに後者は僕の観測範囲においては大変珍しいことのように感じていて、その詳しい事情は今後明かされるのかもしれないけど、何にせよより良い方向に進むものであって欲しい。

 

 

物語構造の変更

ひとつキーになりそうだと思っているのが物語構造の変更。前作では基本的に一本道、その道中でそれぞれのヒロインとの盛り上がりがあり、そこでメインヒロインとの関係性も深めていくことで無事に最後まで生きて辿り着くという構造になっていた。今になって振り返ってみると、途中に山場となるイベントを挟みつつ、クライマックスに向けて徐々に高まりを見せるというこの構造は典型的な物語のそれであって、それは例えば専門書 *5 でも述べられている通り。もちろん前作の良さは多面的に評価されるべきものではあるけれども、この構造を持っていたこともまた優れたストーリー展開の一助になっていたのではないかと考えている。

 

対してアオイトリは公式の言葉を借りれば「共通ルート+4ヒロイン+α」もしくは「1本道+派生ではないシナリオ構造*6。ようは共通ルートからそれぞれのヒロインルートへと分岐する、いつもの美少女ゲームのお作法である。これまでに何度となく見てきたものであって、しかもこの構造は「一方ではひとりのヒロインを愛することが称揚されていながら、他方では複数のヒロインとの愛が用意されている」*7矛盾したものとも受け取れる、なかなか難しい・業の深いものである。しかし興味深いのはこの構造が「必要&最適な作品」であると述べられていること、上で述べた矛盾を解決するものになるのかどうか、そしてその必要性と最適性がいかにして語られるかは楽しみなところでもある。

 

 

おわりに

体験版は7/27に公開とのこと。誠実な制作サイドは先ず体験版をプレイすることを推奨していて、早く遊んでみたい気持ちは僕にもある。しかし昨今の自分の状況、本作の期待値の高さに相対するだけの余裕と覚悟に乏しく、また積んであるゲームをとにかく崩すほうが先というやむなき事情もあって、実際に遊ぶかどうかは悩ましい。まあでも今回も前作同様におそらく買うんだろうなという気はしていて、だったら体験版を遊ぶことなく発売まで楽しみをとっておくのもありかなとも考えている。そうした急いたやりかたは、本当はお互いにとってあまりよろしくないのかもしれないけど、しかし今回もまた自分の直感を信じて、それに従って行動することをどうか許していただければと思う。それはトリノラインでやらかしたやったように*8

 

アマツツミではゲームそのものだけでなく、こうして何かしらをブログにしたためるといったメタな体験の楽しさもあった。アマツツミに次ぐ本作もまた、願わくばこうした楽しみに耐える作品であって欲しく、未来にふたたび語る機会を得られれば幸い。

 

*1:

hina747.hatenablog.com

*2:ただしティザーサイトには赤いロゴもあるから一概には言い切れない

*3:青い鳥 - Wikipedia

*4:http://www.purplesoftware.jp/products/aoitori/interview/01.html#text01

*5:森ゆりか. 大学生・社会人のための言語技術トレーニング. 大修館書店, 2013.

*6:http://www.purplesoftware.jp/products/aoitori/interview/01.html#text05

*7:東浩紀. ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン 2. 講談社, 2007.

*8:

hina747.hatenablog.com

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